
さくら作文研究所では自分史や社史などメモリアルな本づくりのお手伝いをしています。
ほとんどが、ブランディングや宝蔵が目的で、上製本(ハードカバー)での制作です。中にはスピン(紐栞)や函付きなど豪華な装丁もあります。
しかし、いかんせんここまで用意するとかなり高額になります。
「多くの人に読んでもらうために部数を増やしたい」
「同人マーケットで即売をしたいので単価を下げたい」
そういう方に上製本は不向きかもしれません。
そんな時におすすめしたいのがA6文庫本スタイル製本です。
本コラムでは、文庫本スタイルを自分の手で作成するにはどうすればいいのか、簡単なノウハウを説明しましょう。
文庫本スタイルで作るメリット
①コスト面
量産向きで単価を下げられる。
②読み手のハードルを下げる
身近な感じで手に取ってもらいやすい。
③制作の簡単さ
レイアウトに多くの技術を要さない。
メリットをもっと知りたい方は、公式サイトの以下コラムをチェック🌸
安価で高クオリティ、同人印刷のありがたさ
地域の一般的な印刷会社さんは、ポスターやチラシ、中綴じパンフレットがビジネスの主流で、実はそれほど製本を扱っていません。
せいぜいソフトカバー製本までで、糸かがり製本やハードカバーは別の専門会社に外注しているケースがあります。
そのため、見積り依頼をすると結構なお値段を知らされてびっくりします。
かたや、コミケ界隈で重宝される同人専門の印刷会社さんは、ネット入稿システムを導入して全国展開しているところが多く、安定的な需要を獲得しているので、価格が抑えられています。
数をこなしているのでクオリティも悪くありません。ぜひおすすめしたい発注先です。
もちろん、マイナス面もあります。
入稿データは基本的に自分で用意しなければなりません。
入稿から印刷まで自動化することで低コストを追求しているため、「痒いところに手が届く」サービスは臨めません。
よく分からないまま入稿し、届いたものがおかしな風になっていた……なんて悲劇は、ままあることです(逆に地域の従来の印刷会社さんは、営業さんがしっかり寄り添ってくれるところが多いです)。
印刷の基礎をある程度抑えて利用すれば、同人印刷屋さんはコスパの高い仕事をしてくれます。
入稿データって自分でつくれるの?
ここからは同人印刷屋さんを使う前提で話を進めましょう。
入稿データは、一般的なワープロソフトで作成できます。
簡単なレイアウトであれば、マイクロソフトワードや一太郎の基本機能でもOKです。
本づくりに必要なデータ
文庫本スタイルでは、次の3つのデータが必要となります。
- ブックカバー
- 巻表紙
- 書籍本体
サンプルとして以下の本をご紹介します。
さくら文研代表の自著です。
本来ならさくら文研のお客様事例をご紹介したいところですが、全てゴーストライティング作品のためそれができません。手前味噌でご勘弁を。
<外観>
<カバーを取った本体>
それでは、3つデータを個々に見ていきましょう。
ちなみに、入稿仕様は印刷会社さんによって違うかもしれませんから、実際につくる際は各社の条件に従ってくださいね。
ブックカバー

仕様:コート135K
断ち切りあり
Adobeイラストレーターで作成
左右の袖・表紙・背表紙・裏表紙を一体化して作成します。
通常、袖は7センチ取り、表紙・裏表紙の色味を5ミリほど回りこませます。
PP加工(ポリプロピレン加工)を推奨します。発色・光沢を良くし、傷などへの耐久度を向上させます。無加工だと、袖の折れ口に紙割れが生じ、印刷塗料面が割けて紙の白い地肌が露出してしまう場合があります。

残念な紙割れ。黒だと特に目立つ。
印刷の「断ち切り」は、フチなしのデザインを行う場合に選択します。仕上がり寸法ちょうどで作成してしまうと、印刷の際の微妙なずれで色がずれたり、はみ出したりする恐れがあります。その対策として、あらかじめ幅を持たせてデータを作っておきます。通常、縦横に3ミリです。
次の巻表紙も含め、断ち切りありのデータづくりは、寸法設定をカスタムで行うことになります。マイクロソフトオフィス系のソフトでも作成可能です。
巻表紙

仕様:色上質最厚口(135KG) 浅黄/モノクロ/片面
断ち切りあり
Adobeイラストレーターで作成
本体の巻表紙は、表紙・背表紙・裏表紙を一体化させたものを作成します。
本作の収録作は個別ですでに電子書籍で刊行されており、それぞれロゴ化されたタイトルがありました。それらを利用してデザインをあしらいました。色付き紙を選んだので、モノクロで作成し、濃淡を持たせてみました。
書籍本体

仕様: 260ページ/淡クリームキンマリ62/モノクロ
断ち切りなし(原寸)
マイクロソフトワードで作成
本体の構成は以下の通りです。
- 目次
- 本文(各章扉・作品部分)
- 奥付
- 他著紹介
版面は、数ある出版社の中でも晴れのある「講談社文庫」をモデルにしました。
ワードに設定した細かい数字は以下のとおり。
用紙:A6
余白:上12mm 下15mm 右10mm 左10mm 綴じしろ2mm
行数 16行/一行文字数 37字
フォント:小塚明朝EL/サイズ 9
文字間隔 0.2広め/行間隔 14.5
実際の講談社文庫の書体は小塚明朝ではありません。ここはわたしの好みでチョイスしました。
余白の綴じ代は2ミリ取ってありますが、これは260ページの場合です。ページがもっと多ければ、その分開きにくくなるので、広くとる必要があります。そうなると行数・行間隔も変わってくるでしょう。
作りたい、でも分からない…さくら文研がお手伝い
「わたしも文庫本スタイルで本をつくりたい」
「だけどデータがつくれない」
「目次や奥付などアドバイスを欲しい」
そんな時は、さくら文研にご相談ください。
もちろん、原稿そのものの企画・執筆、装丁デザインの立案制作も行います。
どんな些細なことでもお尋ねくださいませ。
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